中高年で膝の痛みを訴える患者さんは多く、代表的な病気は変形性膝関節症です。 患者数は2,000万人ともいわれ、テレビでも膝関節痛の予防の健康食品(グ ルコサミンやコンドロイチン)がよく宣伝されています。
診断は、歩行開始時の痛みが特徴的です。階段の昇降や正座をすると膝に強い力が加わり痛みが増します。歩行時に足に体重がかかると膝関節が外側にずれるのも特徴です。
膝に炎症が強いと痛み、熱感、はれがみられ、関節に水がたまる場合もあります。レントゲン写真では、関節の隙間が狭くなり、骨に棘(とげ)や変形が見られます。膝関節症の初期の場合は、生活の工夫例えば関節に負荷がかかる正座やしゃがむ、階段の昇降を避ける、ゆっくりと歩くなど心がけてください。大切なのは運動療法です。膝を支える大腿四頭筋を鍛えるウオーキングや自転車などの有酸素運動がお勧めです。
膝の装具として柔らかいサポーターより足底板という靴の中敷が有効です。構造は外側が少し高くなっていて膝関節の内側にかかる力を減らし、痛みと変形を防ぎます。ヒアルロン酸の関節内注射は、関節液の主成分を補充する方法で広く行われている有効な治療です。作用はゆっくり効きますが、症状を緩和する効果は長く続きます。
最後に患者さんからよく質問されるグルコサミンやコンドロイチン酸などの健康補助食品ですが、日本整形外科学会では軟骨保護作用や症状を和らげる作用はなく推奨されていません。アメリカ整形外科学会では処方しないことを推奨しています。
(H.24.11月)